✦ 藤井風「It’s Alright」― 民謡もヒップホップもソウルも祭囃子も、ぜんぶひとつに

藤井風さんのアルバム『Pre:Prema』の中でも異彩を放つ「It’s Alright」。その不思議な魅力は、ただ単にシンプルな言葉を繰り返す歌というだけではありません。

この曲を聴くと、まず日本人にとってはどこか懐かしい響きが立ち上がります。リズムや旋律は民謡やわらべ歌を思わせ、さらに繰り返しのフレーズとリズムのうねりには祭囃子のような熱が潜んでおり、特に私の中では、高知の「よさこい節」の拍動と共鳴。聴くほどに魂が震えるような感覚を覚えます。

一方で、英語詞の反復やビート感にはヒップホップのスピリットが漂っています。リズムを刻むごとに「It’s alright」という言葉が呪文のように打ち込まれ、心の奥に染みわたる感覚はまさに現代的なグルーヴです。そして、藤井風さんのソウルフルな歌声が全体を包み込み、ゴスペルのような祈りの力を与えています。

つまり「It’s Alright」は、ソウルミュージックの情熱、ヒップホップのリズム、民謡の郷愁、祭囃子の高揚感、祈り――それらがすべてが一つの曲にごっちゃもりに重なり合った、不思議な融合体なのです。だからこそ聴く人は国籍や文化を超えて心を揺さぶられます。藤井風さんはこの曲で、異なる音楽文化の壁を軽やかに超え、「大丈夫」という普遍の祈りを届けているのです。聴き終わった後には、不思議と心が軽くなり、魂が浄化されたような静けさに包まれます。

さらに注目すべきは、藤井風さんのアルバム構成そのものです。『Pre:Prema』において「It’s Alright」が曲の並びの中心に据えられていることは、単なる偶然ではないように思えます。というのも、1枚目の『Prema』では、アルバムタイトルでもある「Prema」という曲が真ん中の軸となっていました。つまり、両アルバムは交互にそれぞれの中心を響かせ合いながら、全体の物語を形づくっているのです。

1枚目で示された「愛(Prema)」というテーマに対し、2枚目では「大丈夫(It’s Alright)」という祈りが呼応する。愛と魂の平和、根源的な肯定が交互に配置されることで、二つのアルバムは一つの大きな円環を描くようにつながっています。その構造はまるで、音楽という形を借りた曼荼羅のようでもあります。

こうして聴き進めると、「It’s Alright」は単なる一曲にとどまらず、『Prema』と『Pre:Prema』を橋渡しし、藤井風さんの音楽世界をより普遍的な祈りへと昇華させる鍵となっていることがわかります。

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